ジクレとは
最新のデジタルカメラとスキャナー技術を駆使して作成される版画の事を言います。
ラッセン、シメール、アルフォーグ等のアメリカ版画を中心に広がりを見せている高画質デジタル印刷です。リトグラフやシルクスリーンなどとは異なり版は使用していません。
ジクリー、ジークレーの語源の“giclee”とは、フランス語でインクの吹き付けを意味します。これは、スクリーンを通さず、キャンバスや版画の紙にジークレー専用のインクジェットプリンターから大きさ15ミクロンのシアンマジェンタ、黄色、黒色の4色の粒子が吹き付けられ制作されます。だいたい一枚の大判のジークレー版画には数十億粒以上のインク粒子が吹き付けられます。毎秒4百万以上、インクのミクロ粒子を、噴射して7万色以上の微細な発色を可能にします。水性のインクを使用するために通常表面は乾燥した感じに仕上がり、見た感じはリトグラフに近いイメージになりますが、その上からシルクスクリーンで透明ニスをかける場合はシルクスクリーンの様な仕上がりになります。ジクリーと呼ばれることもあります。非常に繊細な線のタッチ、微妙な色彩の変化、色彩の揺れなども逃さず再現することができ、現在最も原画に近い版画制作法といわれています。
なぜジクレなのか
最近、リトグラフやシルクスクリーンに代わる技術がいろいろと登場していますがジクレは最も古くから研究され、 世界的にその品質が美術品クラスのものとして認知されている技術です。最も知名度があり、最も多くのアーティストが利用し、最も安心して使用できる技術であることは言うまでもありません。それは、購入される立場からも同様です。顔料インクを使用するために、たいへん耐光性にも優れ、実験データから退色が目で確認できる程度になるまで種類によって75年~200年以上かかるとの結果が出ています。また、無視できないのは、すでに美術品市場で認知されているという事実です。顧客が安心して買えるのは、ジクレと言う名前があるからとも言えます。